かわいいひと


「なんだ?私の顔になにかついているのか?」

その言葉にふと気付けば。つい彼女の顔を凝視してしまっていた。目の前には愛しい人が小首を傾げて怪訝そうな表情を浮かべている。

ああ、この表情よりは笑っている方が好きだなあ。もしくはいつもの凛々しい自信に溢れた表情の方が。首を傾げたその仕草はとても可愛いけどね。

「いえ、美鶴先輩は可愛い人だなあって思ってつい…」
見つめてしまいました、と続く言葉を口にする。その瞬間、美鶴先輩の頬が朱に染まった。

あ、しまった。つい思ったままのことを言ってしまった。
言った後で失敗したと思った。後悔先に立たず、だ。
こんなことをいえばどんな反応が返るかなんて分かっていたはずなのに。

「な、何をいきなり…だ、大体、わ、私は可愛いなど…と言われるタイプの、人間ではっ…」
いつもより歯切れ悪くごにょごにょと口の中で言い訳めいた言葉を彼女は呟く。

可愛い、なんて言われ慣れてはいないのだろう。どちらかというといつもは綺麗な人とか、カッコイイ人とか言われてるはずだから…。


--- でもやっぱり俺にとっては…。


「可愛いですよ」
そう言ってにっこりと彼女に微笑いかける。もちろん極上の微笑で。
「なっ///」
「先輩が気付いてないだけです。俺にとっては可愛い人です」
「な、何度もそんなセリフを口にするなっ!」
「どうしてですか?」
「…は、はずかしい、だろ」
耳まで赤くしてそんな言葉をぼそりと呟く彼女に俺は再認識。


「やっぱり美鶴先輩は『可愛い人』です!」


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